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  子供たちは何故あんなに恐竜に魅せられるのだろう?

僕の大好きな雑誌のひとつが「ナショナル・ジオグラフィック」で、小さい頃から愛読している・・「愛読」と言っても、小さい頃はただ写真を眺めていただけだけど(もちろん未だ日本語版なんか無い頃で、英語版しか手に入らなかった)。


僕の家は経済的には決して豊かではなかったので、いつも古本をまとめ買いしていた・・本を買うお金は自分で新聞配達をして稼いでいた(今では法律的に許されないだろうけど、僕の小さい頃はおおらかで、僕は小学校3年から中学3年まで、7年間ずっと新聞配達を続けていた)。

 



英語の内容は読めなかったけど、雑誌全体の編集スタイルに何か端然としたところがあって、独特の表紙のデザインを含めて(今の表紙のデザインは何処にでもある普通のものに成り下がってしまった)、子供心に「アメリカは自動車だけでなく、雑誌も凄いんだなー」と感心していた・・それより何より、毎号掲載されている写真の素晴らしさにいつも度肝を抜かれていた。


ヨルダンの首都、アンマンで買った最新号「ナショナル・ジオグラフィック」の特集がおなじみの「恐竜」で、なかなか興味深い視点から恐竜を観察しており、色々と想像力をかきたてられた・・で、想像力を逞しくするなかで、こうもしょっちゅう「恐竜」が特集されるということは、誰もが「恐竜」に並々ならぬ興味を持っている証拠なんだと思ったけど、ふと、「それにしても、子供たちは(僕もそうだったけど)あれ程までに、異様とも思えるくらい「恐竜」に魅せられてしまうのだろう?」と考え込み始めてしまった。


僕たちの仲間である「ホモサピエンス」が地球上に登場してから未だ20万年そこそこしか経っていないのに対して、「恐竜」は1億3千万年という気の遠くなるような長い間、地球上に君臨し続けたと言う事実は信じがたい驚異ではあるが、普通の子供たちにはあまり関係の無い話だろう・・並外れた図体の大きさや、角や屏風のような突起が生えたりしている姿の異様さや、「肉食恐竜」の身の毛のよだつような牙や顎の形の凄さに惹かれるのだろうか?


それらの要素は「子供たちがあれ程までに恐竜に魅せられる」理由のいくつかを説明していることは疑いもなく確かだろうけど、子供たちと「恐竜」の関係を全て語りきっているとは思えないのだけど…


およそ30億年前に最初の生命が地球上に誕生して以来、生物はゆっくりと進化を続けていたが、約5億年前に始まった「カンブリア紀」に生物は前代未聞の大爆発を起こし、今では想像することも難しいくらい、ありとあらゆる構造や形態を備えた生物が登場したけど、ある時突然、原因不明の理由によって、その殆どが絶滅してしまい、わずかに生き残った生物種だけがその後も細々と進化を続けて、現在の地球上に見られる多彩な(カンブリア紀とは比べ物にならないが)生物界を構築してきた・・その意味で、カンブリア紀の「生物の記憶や痕跡」は現代の僕たちにとって希薄であると言えるかもしれない。


それに対して、約3億年前に始まった「ジュラシック紀」(例の大ヒットした映画「ジュラシック・パーク」でお馴染みの人も多いだろう)に登場した「恐竜」と僕たちの遠い祖先である「原始哺乳類」とはお互いに共存して、というよりは「原始哺乳類」は「恐竜」の凄まじい攻撃から常に身を隠しながら、地球上に存在していた・・その意味で、ジュラシック紀の「恐竜の記憶や恐怖」は現代の僕たちにも未だに身近なものかもしれない(身近とは言えないまでも、途切れていないことだけは確かである)。


成人していく過程で、色々な教育(殆どは役に立たないけど)を受けたり、情報(危なそうなものほど有益だけど)を入手したりして、僕たちは「ジュラシック紀の生々しいドラマ」から遠ざかってしまったのに対し、余計な教育や情報の洗礼をあまり受けていない子供たちは「ジュラシック紀に活躍した恐竜」が動いたり戦ったりする様や、吼えたり足を踏み鳴らす響が、リアルに感じられ、恐竜たちのアクティブなドラマの中に身を浸すことが出来るのかもしれない・・僕たちの遠い祖先である「原始哺乳類」のように幾分身構えながら。


添付したイラストは、現段階で「恐竜絶滅の主原因」とされている「小天体の衝突」をイメージしたものだが、本当に「小天体の衝突」で「恐竜」が突然絶滅してしまったかどうかも、「恐竜」を愛してやまない子供達に尋ねてみた方がよいかも知れない・・大人たちがあれこれ勝手に詮索しているよりも…


(2007/12/17)
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