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  明日の博物館へのメッセージ: その5

来館者主導の運営

殆どの既存の博物館は、自分自身のために運営されている。このような運営は、「運営者主導の運営」と呼ぶことができるだろう。「運営者主導の運営」においては、運営の第一義は博物館自身の安定性を保つことにある。

殆ど全てのビジネスは製造(供給者側)から消費(消費者側)へとビジネスの主軸が移行した。「未来の博物館」の運営業務もその主軸を運営者側から来館者側へと変える必要がある。21世紀の博物館は「来館者主導の運営」を実践する必要がある。

「来館者主導の運営」は、強固で自在な情報通信技術のインフラストラクチャーによって成立する双方向の運営メカニズムによって実現できるであろう。

 


フェイルセーフ・システム

軍事ベースでの開発とは対照的に、商業ベースでの開発においては、「フェイルセーフ・システム」は最初に、最大の旅客機である「ジャンボジェット」の開発プロジェクトで採用された。「フェイルセーフ・システム」とは、一言で言えば、事故の発生確率を半減する二重の安全機構のことである。

二重の安全機構より、多重の安全機構の方が安全であると誤解されることが多いが、多重安全機構はリスクを究極的に排除するためのキーファクターを持てないため、多重安全機構は二重安全機構より安全ではないというのが、冷静な事実なのである。

充分に訓練されたオペレーターによる手動的な安全管理システムを、情報通信技術インフラストラクチャーによって支援されたディジタル安全メカニズムとスムーズかつ強固に結合することにより、「フェイルセーフ・システム」は構築することができる。

自主的上達

成果のあるスタッフ・トレーニングの鍵は「笑顔と忠誠」にある、とヌビア博物館の館長は確信している。つまり、「心からの忠誠は楽しい笑顔から生じる」或いは「心からの忠誠は楽しい笑いが無くては生まれてこない」ということである。「忠誠」は博物館全体に対してであり、「笑い」は一人一人のスタッフと共にある。

「自主的上達」の達成結果でもある喜びから、「笑い」は生まれる。

「自主教育」は、トレイニーが自分を上達させるための最も確実な手段であり、情報通信インフラストラクチャーは、トレイニーの自主教育を強固かつ自在に支援する。来館者主導の運営を通じて、未来の博物館では、様々な機会や場面で、スタッフの「自主的上達」の喜びが、来館者との相互的な上達の満足として分かち合われることだろう。


添付した写真はアスワンの「ヌビア博物館」である。「ロンリープラネット」の紹介によると、「アスワンダムの犠牲となったヌビアの人々に対する、ささやかで遅すぎた感謝がこの博物館である」…


(2006/9/3)
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