[ 前へ ]
[ 次へ ]
  明日の博物館へのメッセージ: その4

一対一の展示

20世紀の末までに建設された世界の博物館の大半は、そのコレクションを「顔の見えない大衆」のために展示してきた。言い方を変えると、これらの博物館は「一対多の展示」を行ってきた、「一」は博物館であり、「多」は大勢の来館者である。

21世紀の「未来の博物館」は、「顔の見えない大衆」だけではなく「個性ある個人」のためにも、そのコレクションを展示しなければならない。言い方を変えれば、このような博物館は「一対一(博物館と個人)の展示」を提供しなければならない。「一対一の展示」を実現するためには、展示について異なったタイプの情報やデータが個々の来館者に提供されなければならない。最新の情報通信技術は、無線通信装置を使って個人の特性を感知し、そのような情報やデータを提供することを可能にしてくれる。

「一対一の展示」は、展示の魅力や理解を高め、個人個人が博物館に繰り返しやって来るように誘う。

 


双方向の教育

この博物館は、世界でも最も革新的な博物館の一つであるが、長期間にわたって、興味深く、成果をあげている教育プログラムを実施している。中学校、高校、大学の多くの生徒や学生たちが教育課程の一部としてエクスプロラトリアムで様々な授業を受けている。これらの教育課程が終了した後で、彼らは「ボランティア・インストラクター」として展示について来館者に解説をしなくてはならない。

このプログラムは、「教えることこそが最善の学びである」という原則に基づいている。

殆どの博物館は、いわゆる「一方通行の教育」を行ってきている。先生は教えるだけであり、生徒は学ぶだけである。このような教育方法は陳腐化しやすい。

21世紀の博物館は、教師が学習者になったり、その逆になったりして、プログラムを新鮮かつ魅力的なものに保つことができる「双方向の教育」の機会を提供しなければならない。

開かれた研究

アフナテンの遺跡を協働して発掘するという、ルクソール博物館の成功事例は、「開かれた研究」の可能性に対する有効な具体例を提示している。「ナショナル・ジオグラフィー」の着実な発展の鍵の一つは、ルクソール博物館の研究活動の開放性にある。

博物館との研究活動に協働しようという確固とした意思を持つ人は誰でも、一般市民や研究者に対して様々な研究プログラムを提供する「開かれた研究」に自由に参加することができる。「未来の博物館」が提供する「開かれた研究プログラム」は、人々を博物館や様々な博物館の活動に誘うだけでなく、博物館の資源を豊かにしたり、博物館の研究者が一般市民の広範な支援を受けて可能性を秘めた未知の謎に挑戦していくことを鼓舞するであろう。


添付した写真は、エクスプロラトリアムがある、サンフランシスコの「ファインアート・パレス」である。


(2006/9/1)
[ 前へ ]
[ 次へ ]

トップページへ