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  明日の博物館へのメッセージ: その3

博物館展示の様式

一般的に、博物館は2つの展示様式を来館者に提供することができる。

語る展示様式

「語る展示様式」では、博物館の学芸員や科学者によって選択された、名称、時代、場所、機能、等々について、博物館が提供する「有益な展示」を来館者は鑑賞する。膨大な量の展示物があるため、来館者は普通、このような情報を読みこむために多くの時間を費やすか、読みきれずに満足できなかったり、挙句の果ては無視してしまう。

「語る展示様式」の長所は、たとえ押しつけがましくても、博物館が来館者に多くの科学的情報を提供できる点にあるが、一方で短所は、展示物を眺めたり、説明を読むために、来館者が長い時間を必要とし、かなりのエネルギーを消費しなければならない点にある。

 


聴く展示様式

「聴く展示様式」では、来館者は、事前の説明を抜きにして、まず、展示物自体が語ることを聴いたり、展示物が示しているものを見たりし、もし興味がわけば次に、展示物が何であり、なぜ作られたのか、どのようにして作られたのか等、展示物の背景についての簡潔だが的確な説明を読んでいく。

「聴く展示様式」の長所は、展示物の魅力や秘密を直接見つけ出すことができる点にあるが、一方で短所は、展示物が何であり、何時、誰が作り、何処で見つかったのかという基本情報も同時かつ的確に、博物館が提示しなければならない点にある。

博物館展示の手法

一般的に、博物館は2つの展示手法を来館者に提供することができる。

分類的展示手法

「分類的展示手法」では、殆どの場合、伝統的な基準や科学的理論に基づいて、展示物は分類され、予定されている展示スペースに分類に従って配置される・・例えば、粘土製の女神像は宗教のコーナーに、粘土製の文字版は文化のコーナーに、粘土製の壺は生活のコーナーに、と言ったように。

「分類的展示手法」の長所は、博物館によって分類された「展示物の機能」を来館者がすばやく簡単に理解できる点にあるが、一方で短所は、博物館によって選択されていない、潜在的な、或いは隠されている展示物の機能を、来館者が見つけ出すことが難しいかもしれない点にある。

多元的展示手法

「多元的展示手法」では、来館者は展示物を複数の視点から鑑賞することができる・・例えば、一つのコーヒーカップは、その鉱物組成を分類することによって鉱物学の情報を提示することができるし、それが使われている場面を描き出すことによって美学的側面を提示することができるし、その使用方法を宗教的儀式の中に関連づけることによって宗教に関する情報を提示することもできる、と言ったように。そのため、「多元的展示手法」では、博物館学における既存の展示方法論は放棄され、全く新しい、挑戦的な展示方法論や博物館学が導入される必要がある。

「多元的展示手法」の長所は、多様な、殆ど限りないとも言える、展示物の価値や意味を、来館者が自分自身の視点から見つけ出すことができる点にあるが、一方で短所は、幾人かの、実際には多くの来館者は展示物の情報やデータを殆ど見つけ出すことができず、全体として博物館そのものにも失望してしまうかもしれない点にある。


添付した写真は、ウエッジウッド製のコーヒーカップである。


(2006/8/30)
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