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  明日の博物館へのメッセージ: その1

前回の「ロジスティック博物館学」に続いて、「明日の博物館」へのメッセージの概要を提示しておきたい。

「一方通行の知識」から「双方向の活動」へ

サンフランシスコの「エクスプロラトリアム」に代表される、少数の博物館を除いて、世界の殆ど全ての博物館は、受身の受け手に対する「一方通行の知識の流れ」という形で来館者に知識を提供している。もし来館者が博物館で催される講義やセミナーに出席しなければ、より深い情報を手に入れることができないため、来館者は自分の好奇心を棚上げにするしかない。

 
21世紀の「未来の博物館」は、例えば「エクスプロラトリアム」が典型的に発展させてきたような、「双方向の活動」を備えた新しいタイプの博物館として成長していくことを目指すべきである。来館者が自分自身の好奇心を満たすために自らの活動計画を作ることができるような世界へと、このような博物館は来館者を双方向的に導いていくことができる。

例えば、情報通信機器を使ったような個人的な方法によって、解決方法を得ることができる。このようにして、来館者は自分の考えや知恵を具体化していくことができる。文化的に複合した施設を最大限に活用することにより、また、それらから相乗的な成果物を生み出していくことにより、「未来の博物館」は「双方向型活動」タイプの博物館の先導者になることができる。

「本物」から「本当の意味」へ

かつて博物館は、人々が「本物」の考古物を見る場所であったが、これからの博物館は、人々が考古物の「本当の意味」を見つけることができるような場所にならなければならない。

例えば、多くの美しく荘厳な「本物」の石像が素晴らしい方法で博物館に展示されている。エジプト国内の、「カイロ博物館」「ヌビア博物館」「ルクソール博物館」「アレキサンドリア図書館内の考古博物館」「アレキサンドリア国立博物館」、さらに、「大英博物館」「ルーブル博物館」「メトロポリタン博物館」「スミッソニアン博物館」等々。

しかしながら古代においては、「本物」の石像は博物館のギャラリーにではなく、ファラオのための寺院や公共の礼拝所に置かれていた。石像が古代世界で持っていた「本当の文脈や意味」を来館者に伝える可能性を博物館は持っている。世界各地の既存の博物館では、「本物」の展示から「本当の意味」を類推することが絶望的に難しくなっている。

空間的、時間的な制約を乗り越えながら、手際よく展示された「本物」の展示物を通して、来館者が「本当の意味」を見つけたり、それに触れることができるような、新しいタイプの博物館に「未来の博物館」はならなければならない。

隔離された「倉庫」から世界規模の「知識の培養器」へ

インターネットに代表されるブロードバンド時代以前には、人々が大量かつ様々な歴史的データや情報を得ることができる、最良かつ唯一の場所は博物館か図書館であった。

しかしながら、ブロードバンド時代以降には、人々はインターネットを通して大量のデータや情報を得ることができるようになった。現代においては、隔離された「保存庫」や「倉庫」から、データや情報を世界へと発信し、世界中を結びつけるような情報結節点へと、博物館の役割は当然のこととして変化しなければならない。このようにして、「未来の博物館」は、世界を基盤とする「知識の培養器」として機能していくようになる。


添付した写真は「ディズニーランド」の広告である。ディズニーランドの全ての娯楽作品は「本物」ではないが、ある種の「本当の意味」を人々に与え続けている。

(2006/8/26)
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