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  ロジスティック博物館学

「新しい博物館学」への僕の最新の考察を紹介してみたい・・出来立てほやほやである。

1)博物館機能の核

収集、保存、修復、研究、教育、啓発、娯楽等々、博物館は幅広い分野の機能を提供しなければならないが、博物館機能の核は、包括的な意味での「研究活動」にある。他の機能は「研究活動」から派生するものである。

最近まで、また世界の各地では今日でも、「展示」が博物館の核心的機能であり、その他は二次的なものであると信じられてきた。つまり、博物館のあらゆる活動は、「展示機能」に一方的に寄与するものであると。「展示」は、これまでは、博物館の最重要で最終的な機能であった。

 
21世紀の博物館は、静的な「展示活動」から動的な「研究活動」へと、その機能の軸をシフトしつつある。このような方法で、博物館は絶えることなく自らを発展させ、自分自身で発展するための強力なエネルギーを常に生み出していくことができる。強力なエネルギーの持続可能な源は「包括的研究活動」にあり、「展示」を含む他の機能は「包括的研究活動」によって生み出される強力なエネルギーによって活性化されなければならない。

2)包括的研究活動と他の活動との関連性

「包括的研究活動」の作業の流れから、博物館のあらゆる活動は、季節ごとに、芽生え、花咲かせ、実をつける「永遠に成長する木」を育成しながら統合されていく。

「包括的研究活動」は、その木の「幹」であり、展示、教育、啓発、娯楽などの他の活動は、幹から派生する「枝」である。運営管理活動は、「根や導管のネットワーク」として機能する。

博物館のあらゆる活動は対等に位置づけられ、緊密に組織化されているが、明確に区別されなければならない。「包括的研究活動」は他の活動に生産的な「種」を供給し、他の活動は、お返しとして、「包括的研究活動」に、さらに生産的な「実」を返していく。「展示」は、たとえどんなに重要であり、かけがえの無いものであっても、芽や、花や、実のひとつなのである。運営管理を含む他の活動は、「展示」と同等なのである。

博物館のあらゆる活動は相互連関的に機能する。「展示」は博物館活動の一部である、つまり、博物館の永遠に生長する木の芽や、花や、実の一つなのである。

3)研究主導型博物館のためのロジスティック博物館学

既存の「展示主導型博物館」ではなく、明日の「研究主導型博物館」へと博物館を発展させていくために、博物館を設立したり革新したりする事業に携わる全ての関係者によって、できるだけ緊急に、「ロジスティック博物館学」が入念に検討され、確立されていくであろう。

「ロジスティック博物館学」は、他の活動に、具体的でもあり抽象的でもある、貴重な発見物を絶え間なく提供する「包括的研究活動」を最も重視する。「ロジスティック博物館学」においては、「展示」は「最終的な成就」ではなく、教育、啓発、娯楽などの他の活動と同様の、「進行形の成果」に過ぎない。

古代エジプトのあらゆる古器物、記念物、遺物は、「包括的研究活動」の全過程を通じてロジスティックに取り扱われ、ロジスティック管理の過程で、展示、教育、啓発、娯楽に、最大限に活用されていく。

添付した写真は、カーターが「王家の谷」で発見した「ツタンカーメンのお守り」である。

(2006/8/5)
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