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  不味い店: その2

「ワースト・スリー」の続きから始めよう。

「アンカレッジ空港」で食べた「立ち食いうどん」

まだ、「北極圏航路」があった頃、ロンドン行きの飛行機がアンカレッジ空港で給油をするために立ち寄った時、「これから数ヶ月、中東の地で暮らすのだから、この辺りで、うどんを一杯食べておくのも悪くないな」と、自分で勝手に納得しながら、うどんを食べようとしたのが大間違いであった。

 

重油の匂いと味がするスープで(何故そのような味を作り出せたのかは、今もって謎である)、一口食べてみて、これは到底食べられないと即座に判断し、何処かに捨てるしかないと思って辺りを見回したら、アメリカの何処の町にでもある、大きな黒いゴミ・バケツ(直径80センチ・高さ1メートル位)が見つかったので、「これは好都合だ」と近づいて中を見たら、その「ゴミ・バケツ」のは捨てられた「うどん」で一杯になっていた。

「日本人は実に心優しい民族だな…」と、妙な愛国心が刺激された記憶がある・・欧米人だったら、まず、うどんを突っ返し、店の人に厳しく抗議するに違いないだろうから…

九州の「由布院駅前の喫茶店」で食べた「カキ氷」

九州に面白い仕事があったので、仲間たち4人で湯布院に出かけた際に、かの有名な建築家・磯崎新の由布院駅舎が完成したばかりなので、皆で見に行こうということになり、さらっと見物した後で、「暑いから、カキ氷でも食べよう」と皆を誘ったのだけど(「カキ氷」は僕の大好物の一つ)、駅前には典型的な外観の喫茶店が一軒しかなかったので、味はあまり期待せず、とりあえずそこに入った。

それぞれに色んな「カキ氷」を注文したら、僕が最も尊敬するグラフィック・デザイナーのひとりである仲間が注文した「カキ氷」が最初に出てきた・・僕や他の仲間の「カキ氷」が出てくるのに少し時間がかかったので、かのグラフィック・デザイナーさんが食べているのをなんとなく見ていたら、突如彼が「カキ氷」に水をかけ始めた。

驚いた僕が、「そんな食べ方は『カキ氷』を侮辱しているよ!」とたしなめたら(カキ氷狂いの僕にとっては耐え難い仕打ちであった)、「こうでもしないと、とても食べられない代物ですよ」というのが彼のそっけない答えであったが、自分の「カキ氷」を一口食べてみて、僕もすぐに水をかけ始めてしまった。

「カキ氷」に水をかけたのは、これが最初で最後である・・幸運なことに…
「摂氏マイナス273.15度」という最低温度があるのに、最高温度には上限が無いというのと同様に、味にも「食べられない」という最低味覚があるのに、美味しい味にはキリがない、ということを話してみたかっただけなのだけど。

何処かの有名な人が、「幸せな家庭は何処も同じように見えるけど、不幸せな家庭はどれも違って見える」と喝破したけれども、「味覚」にも似たようなところがある、ということも話してみたかったのだけど…

添付した写真は、例の由布院駅である・・例の喫茶店ではない。

(2006/4/21)
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