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  生物の栄枯盛衰 その1

「鼻毛の謎」に匹敵するほど、気にかかっていることの個人的な不思議のひとつに、「生物は何故、かくも移動したがるのだろう?」という単純な疑問がある・・「生物は何故、かくも動きたがるのだろう?」では、決して無い。

「移動する」とは、活動(生きること)の場所や場面を物理的に取り替えていくことであり、「動く」とは、猫が良くやるように足で頭を掻いたり、チューリップが風でゆらゆらと揺れている、ような物質的状態を言う。

「人類の栄枯盛衰 その3」として話を始めようかと考えたのだけど、どうも「人類」だけでは話が納まりそうもない感じが直感的にしたので、急遽、タイトルを「生物の栄枯盛衰」に変更した。

 

生物の、無鉄砲というか、果敢というか、「移動したくなる衝動」については、極々単純化して言うと、僕自身は次の4種類の「移動偏愛」に注目している・・「生物の陸上への移動」「人類のマゼラン海峡までの移動」「ポリネシア人の大洋移動」「植物の花粉移動」である。

「生物の陸上移動」は、今から数億年前に、水中で発生し進化した生物が、徐々に陸上に移動していき、やがては今日見るような陸上生物の大繁栄時代を迎えた「ギャンブル」を言う。

酸素利用効率など後々になって考えてみれば、つまり適応進化してみれば、陸上には生物にとって色々な利点もあるのだけど、移動を始めた当初の生物にとっては、陸上は「地獄」よりも苛烈な条件を備えた場所だった・・今の僕たち(陸上生物)が水中ではたちまち窒息死してしまう事実を考えれば、当時の大変な状況がたちどころに理解できるだろう・・僕たちだけでなく、水中で生活し続けることを選んだ魚達も、網や針で捕獲されて地上に上げられてしまうと、あっけなく死んでしまう。

「人類の移動」は、今から数万年前の「最後の氷河期」の頃に、ユーラシア大陸とアメリカ大陸を隔てていたベーリング海峡が繋がり、そこを越えて人類が始めてアメリカ大陸(コロンブス的意味ではなくて、ホモサピエンス的意味で『新大陸』)に渡り、やがては、南アメリカ大陸の最南端「マゼラン海峡」にまで到達した「サーガ」である。

数千万人規模には到底達していなかっただろうホモサピエンスが、ユーラシア大陸で、それ程食べるのに困ってはいなかったであろうと予想されるのにである・・「氷河期」はホモサピエンスの生態圏にとって、何かの決定的なトリガー(引き金)になっていたのだろうとは予想できるけど。

「ポリネシア人の大洋移動」は、かって紹介したバックミンスター・フラーの「テトラスクロール」にもロマンチックに話されているが、ベーリング海峡を越えて行った頃と少し遅れるくらいの時期に、東南アジアの島々から東へ東へと、太平洋の荒波をものともせず、カヌーに毛が生えた程度の船に乗って漕ぎ出だし、果てはハワイにまで到達した「アドベンチャー」である・・同じ頃に、マラッカ海峡などを陸伝いにオーストラリアにまで南下して行ったのがアボリジニである。

「植物の花粉移動」とは、「植物」本体は、その名の通り、「動物」に比べると、移動するのを余り得意としていないけど、「花粉」という「飛行体」を使って、ものの見事に移動してしまうと言う洒脱な「テクニック」のことである。

添付した図版は、地球に最初に現れたとされる「パンゲア大陸」である・・「パン=汎」プラス「ゲア=ガイア=大地」というギリシャ語から命名されている・・「地母神」の「ガイア」である。

(2006/1/7)
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