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  夜は、何故暗いのか? その3

お待たせしました、「夜は、何故暗いのか?」という設問に対する答えを、このあたりで紐解いてみましょう。

「夜は、何故暗いのか?」という設問を提示した時に、あらかじめ断っておきましたが、この答えは、もともとの設問が提示された20世紀開幕の頃や、ある回答が「一応の正解」として認知された20世紀始め頃の、「天文学」や「宇宙論」の知識や理論に基づいて「正しい」とされたものであり、この「正解」が未来永劫にわたって正しいかどうかは誰にも分りません・・このような事態は、その誕生の初めから「自然科学」が抱えている、「宿命」というか「持病」というか、はたまた、「新鮮」というか「驚異」というか、「生物の体内リズム」のようなものなのです。

ただし、2005年段階の「天文学」や「宇宙論」でも、説得力のある「筋書き」として通用していることは、断っておきます。

 

設問を簡単に繰り返しますと、「宇宙に無数の星が均等に存在しているとすると、太陽がいくら地球の近くに在っても、無数の星の光を集めれば、太陽一個の光と同等かそれ以上の明るさになるはずであるから、太陽が地球の裏側に隠れてしまっても、つまり『夜』になっても、太陽が地球の表側に在る時、つまり『昼』、と同じような明るさになるはずではないか?理論的にはそうであるにもかかわらず、現実には『夜』は暗くなってしまう、せいぜい『月明かり』や『星明り』でほのかに明るくなる程度ではないか・・何故だろう?」ということでした。

世界中から寄せられた数多の回答の中から(賞金も桁外れでしたから)、「正しい」というお墨付きを当時の最も権威ある科学者達からもらった回答は、「宇宙が膨張しているから」という、あまりにも単純すぎるような、人を食ったような、「エ、ウソ?」と思わず聞き返したくなるような、面白味の無いものでした(皆、奇想天外な答えを期待していましたから)・・もちろん、「宇宙が膨張している」なんて、にわかには想像もできないし、しばらく考えをめぐらせても納得しにくい、常識はずれの発想であることには間違いありません。

宇宙は太古の昔から未来永劫に渡って不変であるという、ほとんど信仰に近い信念が人類の歴史の99.9%を支配してきたましたが、当時から「ひょっとしたら、宇宙は膨張しているのではないか?」という疑問を刺激するような観察的な発見が続出してし始めていました・・遠くにある星ほど早く地球から遠ざかっているという「赤色偏移の現象」は、その代表例です(遠くの汽車の汽笛の音がポーっと音程が変化する現象です)。

「宇宙が膨張しているかもしれない」という疑問と、「夜が暗いのは宇宙が膨張しているから」という回答を結びつけた、この「発想の飛躍」にこそ、今回の設問の最大の鍵があると思います。

宇宙が膨張しているのだとすれば、膨張する前の原点は何だったのだろうという話になり、「宇宙の栄枯盛衰」でお話しした「ビッグバン」に行きつくし、果たして宇宙はこのままずっと膨張し続けるのか、それとも、どこかで再び収縮を始めるのではないだろうか、といった質問になってくると、「星間物質」や「ブラックマター」といった興味深い話になりますが、そのあたりについてはガイドブックを読んでいただくことをお勧めいたします。

もう一度おさらいをすると、宇宙が膨張をしているとすると、とりわけ、遠くにある星ほど早く遠ざかっているとすると、無数といわれる星の光を足してみても、すぐ傍にある(つまり、遠ざかる速度がもっとも遅い)太陽の光の明るさにはかなわないのではないか、というのが「夜は、何故暗いのか?」という問いに対する答えでした。

添付した写真は、宇宙が膨張している証拠だとされている「赤方偏移」を発見した、天文学者であるエドウイン・ハッブルにちなんで命名された「ハッブル望遠鏡」で、地球の大気圏の外側から観測した宇宙の素晴らしい映像を続々と送り届けてくれています。

(2005/12/6)
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