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 栄枯盛衰 その4: 星の栄枯盛衰

「宇宙の栄枯盛衰」の話が面白かったのでその続きを、という感想が少なからずメールで送られてきているので(できれば、ブログに直接送ってもらえれば、僕としては嬉しいけど)、「星の栄枯盛衰」を手短に話してみよう。

精神世界は別にして物質世界だけに的を絞ると(「生命潮流」などで著名なライアル・ワトソンに言わせれば、このような分け方自体にこそ問題があるということになるのだけど、それはさておいて…)、「宇宙」は、言葉の意味そのものにおいて「全世界」であり、普通は、その「全世界」の中で繰り返される様々な「栄枯盛衰」を対象とすると、色々な面白いドラマが見えてくるのだけど、「背景」とも言うべき「全宇宙」を対象にすると、何が栄えて何が衰えるのか、くっきりとは見えにくいというのが、前回の話しだった。

その点で言うと、「星」は「宇宙」の中の存在なので、非常に鮮烈な「栄枯盛衰」のドラマを見せてくれる。

 

宇宙に漂っている、殆ど水素で構成された星間ガスが、「重力のゆらぎ」によって収縮を始め、あるスレッショルド(閾値)を超えて凝縮すると、中心部分の圧力や温度が水素の核融合を促すのに充分なレベルに達し、水素は核融合を始めて、強烈な熱と光を放ち始める・・「星の誕生」であり、別の言い方をすれば「水素爆弾」の持続的な爆発であるとも言える。

「星の栄枯盛衰」とは、「核融合」の活動のドラマであると超単純化して規定することも出来ないことは無いけど、そこはそれ、「人生の栄枯盛衰」と同じように事はそれ程単純ではなく、重力とか内部圧力とか、まあ星にも色々とシガラミがあって、それぞれの星毎に個性のある栄枯盛衰を繰り広げてくれる。

「核融合」の続きを簡単にすると、最も軽い元素である水素からヘリウムへ、さらには少しづつ重い元素へと燃料を変えながら「核融合」は変化をしながら続いていき、やがて鉄の手前で、さしもの「核融合連鎖チェーン」は終わりを遂げてしまう。

ここからの「星の後半生」は、もって生まれた自分自身のサイズによって、全く別々の方向へと変化していく・・肥満児の星は超新星やブラックホールになり、やや太り気味の星は赤色超巨星や赤色巨星に、筋肉質の星(太陽もその一つだけど)は、白色矮星やパルサーになる・・そのあたりの消息については、ガイドブックを読んでいただきたいが、肥満児の星が一瞬の輝きは強烈だが短命で、筋肉質の星は光は地味だが長命だという辺りも、何となく頷ける感じがして面白い。

僕の大好きな歌の一つは、宮沢賢治作詞作曲(作曲もだよ!)の「星めぐりの歌」で、その一番の歌詞は、「赤い目玉のさそり、光の蛇のとぐろ。青い目玉のこいぬ、広げたわしの翼。オリオンは高く歌い、露と霜とを落とす」となっているが、星座の美しい配置だけでなく、星の栄枯盛衰をも織り込んでいるところが、フーンという感じなのである・・「赤い目玉のさそり」は、「やや太り気味の星」の末路である「赤色巨星」であり、「青い目玉のこいぬ」は、「肥満児の星」の青年期である。

ところで、星々の多くは最後に大爆発を起こして一生を終えるのだが、その際に誕生する、「鉄より重い元素」が無いと、例えば、地球上の動物も植物も鉱物も誕生することができなかったということだけは感性の片隅に置いておいて欲しい・・皆、人類もゴキブリも、「星の王子様」や「星の王女様」なのだから、ゆめゆめ「ゴキブリほいほい」などを使って見ようなどという、「宇宙的良心」に反することはしないように・・

添付した写真は、星の一生の模式的イメージで、左上の大きな星が「赤色超巨星」である。

(2005/11/11)
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