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  栄枯盛衰 その2: 宇宙の栄枯盛衰

普通、「栄枯盛衰」というと、比較的寿命の短い「文明=数百年から数千年単位」や「王朝=数十年から数百年単位」などを対象とするが、もっと寿命の長い「宇宙=数百億年単位」や「地球=数十億年単位」や「人類=数百万年単位」にも「栄枯盛衰」は存在するのだろうか?

混沌とした平衡状態にあった前宇宙に「ゆれ」が生じ、バランスが崩れて重力の不均衡が発生し、一挙に収縮を開始し、比喩ではなく針の先程にも前宇宙が凝縮した瞬間に大爆発が生じ、大爆発によって誕生した宇宙はそれ以降、原子や星や生命を生み出しながら、数百億年にもわたって膨張を続けている・・というのが、現代の宇宙論の中核となっている「ビッグバン宇宙論」である。

 

にわかには信じがたいような、僕自身、今でもかなり眉唾物だと思っている、途方もない仮説なのだけど、現在の宇宙の状態を説明するのにはもっとも有効な理論であるらしい・・究極的に正確な理論であるかどうかは確かめられておらず、一部の有力な電磁気物理学者たちは「ビッグバンはなかった」という非常に興味深い本も出版しているほどである。

ビッグバンの直後、数十億分の一秒もたたないうちに、現在の宇宙を構成する軽い原子の殆どが作り出されたということなのだが、瞬間としか思えないような短い時間の間に、物質と反物質とが衝突してエネルギーとして消滅してしまうという大事件があった・・らしい。

現在の宇宙を構成している、つまり星や人体などを形づくっている要素を「物質」とすると、それとは全く正反対の構造をもつものを「反物質」と呼ぶ・・「物質」では、正の電荷を持つ陽子の周りを負の電荷を持つ電子が廻っているのだけど、「反物質」では、負の電荷を持つ陽子の周りを正の電荷を持つ電子が廻っており、両者が出会うと互いにひきつけあって、瞬時に光のエネルギーとなってしまう。

かのアインシュタインの超有名な方程式「E=mc2」(エネルギーは、物質の質量に光速の二乗を掛けたものと等しい)の世界である。

僕たちには「無限」としか思えない、現在の全宇宙を構成する物質は、その時に消滅を免れた、極々わずかの残り物だということになっている。

大爆発から大消滅へという瞬間のグランドオペラ(と、果たして呼べるかどうかは自信は無いが)の後は、時折、星雲同士が衝突したり、大きな星(僕たちの太陽は中位の星)が星の一生を終える時に大爆発を起こして超新星になったり、新しい星々が毎日のように誕生したり、ハレー彗星などのコメットが太陽をかすめるように飛び去ったり、太陽が約十年単位くらいで黒点が周期的に増えたり減ったり・・というような、全宇宙的規模で観察すると「平穏」な日々を送ってきたといえるだろう。

ということで、宇宙には「栄枯盛衰」が無いといえるのかもしれないが、現在の宇宙論によると、宇宙の寿命は約500億年くらいで、現在がほぼ折り返し点辺りと見られているので、これから約250億年くらいで今の宇宙はその生涯を終えることになっている・・とすると、終焉に向かってどのようなドラマが待ち受けているか分らないので、これから「栄枯盛衰」が繰り広げられるかもしれないとも言えないことは無い。

もし本当に、宇宙に寿命があるとするのなら、宇宙もまた「枯れ」たり、「衰え」たりする、僕たち近しい仲間だとも言えるだろう・・添付した写真は、最近発見された「超新星」である。

(2005/10/25)
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