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  ギザの仕事場
少し気分転換に、僕が現在作業をしているギザの仕事場を紹介したい。

「大エジプト博物館」建設事業の準備事務所は2棟あって、僕が作業をしているのは、建築家や技術者やIT専門家のための「Technical Committee」で、それとは別に、総務や財務を担当している「Executive Authority」の建物がある。

どちらも博物館建設予定地の中にあり、堂々とした本格的な2階建ての建物だけど、博物館の完成後(2010年の後半か2011年の前半を予定している)には撤去されてしまう。

どの写真も「Technical Committee」を撮影したもので、最初の写真は「玄関」の外観、次の写真は事務所の直ぐ傍まで迫ってきている「ギザ台地=西部砂漠(リビア砂漠)の東の端」、3枚目は「中庭」、最後の写真は事務所の屋上から眺めた「大ピラミッド群」である。

3枚目までは朝早く撮影したので、少々かすんでいるが、これは日光が弱いためではなく、これからの季節の悪名高いカイロ名物「スモッグ」のせいなのである。

ナイルデルタの稲の収穫が終わる今頃、農民が藁を燃し始め、その際に発生する煙のせいだとするのがカイロ市内に住む「都会っ子」の言い分。

一方、数百年以上も藁を燃やし続けてきたのにスモッグなんか発生したことも無く、カイロ市内の自動車が加速度的に増加しだしてから、スモッグが発生し始めたのだから、自動車の排気ガスのせいだとするのが、カイロ郊外で農業を営んでいる「村人」の言い分。

カイロを管轄する知事は当然カイロ市民の側に立って、カイロ周辺を管轄する知事も当然周辺農民の側に立って、お互いに相手を非難しあうので、議論はホットになるのだが、スモッグは一向にクールに収まらない・・ということで、あえて最新の「かすんだ写真」をお見せしている次第である。

最後の写真は、3枚目までに比べると少しはましだが、これは遅めの午前中に撮影したからで、朝早くには、事務所の直ぐ傍らに聳えているギザの大ピラミッド群も全く見えないからである・・9月の始め頃には、あんなにくっきりと見えていたのに…

ギザで作業を始めてから、かれこれ一ヶ月を超えようとしているが、肝心のピラミッドは傍にまでは行ったことがあるけど、ピラミッドの中に入ったことは一度も無い・・スフィンクスにいたっては、未だ外観も見たことが無い。

エジプト政府文化省の考古最高評議会(Supreme Council of Antiquities)から、エジプト中の歴史遺跡や博物館に何時でも無料で入れる、特別な許可証を発行してもらっているというのに…

何も、かくのごとく忙しいんだということを威張って言うつもりはさらさら無く、毎日、朝から夕方まで身近に眺めていると、かの崇高なピラミッドもただの風景の一つになってしまって、特別な感傷も沸かなくなってしまい、それより、直ぐ傍らまで迫ってきている、見上げるような砂丘の方が何度見ても「フーン」と頷いてしまうのである。

どんなに素晴らしく構築された人工物も、自然の造形が持つ迫力には、かなわないのかもしれない。

 

 

(2005/10/11)

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