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  夜は、なぜ暗いのか? その1

かなり古い話なので正確に記憶していないが、イギリスのタイムズが20世紀の開幕を記念して、当時としては破格の懸賞金を付けて、「夜は、なぜ暗いのか?」という問題を新聞紙上に発表した。

誰でも回答を提出できるので、回答は数量においても膨大であっただけでなく、アイディアの奇抜さにおいても群を抜いていたが、当時の最高レベルの科学者達で構成された審査チームの眼にかなうものは無かった。

「完璧に正解」かどうかは別として、「当時の科学的判断で正解」と審査チームが認定した回答が出たのは、問題提出から約20年後のことであり、その回答はそれまでの宇宙観を根本から覆すものであった。

着想し、思考し、証明してみるという、格別の楽しみを奪ってしまうのは勿体ないので、その回答自体について話すのは、何時か別の機会にする。

 

それまで、「夜は暗いものだ」と何も疑うことなく、健やかに育ってきた僕にとって、「夜は、なぜ暗いのか?」という質問もさることながら、それよりも、そのような質問を着想できることに心底驚いてしまった・・自分は発想は豊かな方だと勝手に自負していたのだけど、そんな屁のような自信なんか軽く吹き飛ばされてしまった。

それ以来、仕事であれ、遊びであれ、見知らぬ人と出会う機会があると、時にはそれとなく、時にはぶしつけに、「夜は、なぜ暗いと思いますか?」という質問を投げかけてきた。

質問を投げかけられた人たちの反応は様々であったが、大別すると以下のようなものであった:

咄嗟の質問に困惑する・・
「この人は何を言っているのか、さっぱり理解できない…」

質問されたこと自体に不愉快になる・・
「私は、社会的にれっきとしたポジションにあり、科学に無知であるはずはないのに、そんな分りきった質問をしてくるのは失礼ではないか…」

少し考え込む・・
「今度お会いする時にお答えいたします…」

直ぐに答える・・
「太陽が居なくなるからに決まっているでしょう、それ以外の回答はありえる訳が無い…」

最後のタイプの反応が圧倒的に多く、「それで、その時に正解とされた回答は?」と問い返されるのが常であった・・相手によって答えたり答えなかったりしたけど、答えても「ああ、そう…」で済んでしまうことが殆どであった。

「夜は、なぜ暗いのか?」と問いかける発想の飛躍について興味を示す人が少ないことには、正直言って少なからず驚かされている。

(2005/8/22)
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